ビジネスで取引先やお客様にお会いする時、日常でも相手先に訪問する時など、菓子折りを持っていくシーンがあります。しかし慣れていないと、そもそも菓子折りは必要なのか、どんなものを選べばいいのか迷うことが多くなるでしょう。
こちらの記事では、菓子折りの選び方やマナーなどについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
菓子折りの意味とは?
菓子折りとは、もともと薄く削った木を折り曲げて作った「折り箱」に詰められたお菓子を意味する言葉でした。
今では紙や発泡スチロールなどの外箱に入ったお菓子も菓子折りと呼びます。箱の素材が何であっても、丁寧に外箱に詰められた高級なお菓子というのが菓子折りのイメージとして定着しています。
バラ売りのお菓子や外側が袋に入ったお菓子は菓子折りとは呼びません。大事なシーンでお菓子を持参する際にはそのようなお菓子は避け、高級なイメージのある菓子折りを贈るのが一般的です。
菓子折りを渡すケース
日頃の感謝の気持ち、これから仲良くしたい気持ち、誠意を持って謝罪したい気持ちなどをあらわしたいシーンで菓子折りを持参します。
菓子折りを渡すことでこちらの気持ちがより相手に伝わりやすくなります。具体的には以下のようなケースで菓子折りを渡すとよいでしょう。
・取引先への挨拶(新任・担当変更など)
・季節の挨拶(中元・歳暮や年始の挨拶など)
・お世話になったお礼
・お祝い(結婚・出産・合格祝い・昇進祝いなど)
・謝罪(不手際などで迷惑をおかけした相手にお詫びにうかがう時)
・退職・異動・退任の挨拶
・退職・異動・退任の方への餞別
菓子折りを渡すタイミング
菓子折りを渡すタイミングはシーンにより異なるため注意が必要です。
挨拶・お祝い・お礼の場合は最初に渡して構いません。訪問時や応接室などで挨拶するタイミングで渡すのがよいでしょう。
最も気を付けなければいけないのは謝罪の場合です。謝罪で訪問した際に菓子折りをすぐ渡そうとするのはNGです。品物で許しを請うように受け止められる可能性があり、印象がよくありません。
また、品物を受け取ることは相手にとって謝罪を受け入れるという意味にもなります。まずはしっかりとお詫びをし、相手が謝罪を受け入れたことを確認できた上で、帰り際に菓子折りを渡すのが適切です。
また、相手が謝罪を受け入れないこともあるでしょう。その場合は菓子折りを無理に渡そうとせず、持ち帰るケースもあることを想定しておきましょう。
菓子折りの渡し方のマナー7個
菓子折りを渡す際に気を付けたいマナーについて説明します。
1. 金額に気を付ける
高すぎると相手に気を遣わせてしまうため、簡単な挨拶程度であれば1,000円〜2,000円程度で問題ありません。お礼やきちんとした挨拶でも3,000円〜5,000円程度で十分です。
謝罪の場合でも高額すぎると品物で解決しようとすると受け取られる可能性があるため、高くても1万円までにとどめましょう。多くの場合は3,000円〜5,000円程度で問題ありません。
2. 品物選びに気を付ける
親しい友人同士のささやかな手土産の場合を除き、袋物のお菓子は避け、箱に入った菓子折りを選びます。
ビジネスで渡す場合は冷蔵品や切り分けが必要なものは、保存のしにくさ、配りにくさの観点からNGです。個包装で日持ちするものが無難です。
洋菓子ではクッキーやフィナンシェ、和菓子ではせんべいやあられなどの焼き菓子は好みが分かれにくく、日持ちするものが多いので、おすすめです。
3. のし紙は適切につける
のし紙をつけると丁寧な印象になります。挨拶で持参する場合は「御挨拶」、お世話になった方へのお礼では「御礼」と書いたのし紙を掛けます。
用途に合わせて適切なのし紙をかけてください。
あまり気を遣わせたくない相手には「心ばかり」の表書きもおすすめです。なお、謝罪で菓子折りを持参する場合はのし紙はかけません。
4 手提げ袋のまま渡さない
相手先までは手提げの紙袋で持参してよいですが、渡すときは手提げ袋から取り出すのがマナーです。手提げ袋から取り出し、包装などの問題がないか確認してから、相手に品物が正面になるように両手で持ち渡します。
なお、出先など相手が持ち帰る必要がある場合は手提げ袋のまま渡します。その際は「手提げ袋のままで失礼します」などと一言添えて渡すようにします。
5. 渡すタイミングに気を付ける
挨拶やお祝い事、御礼で訪問する場合、菓子折りを渡すタイミングは最初で問題ありません。
謝罪やお詫びで訪問する際は、謝罪を受け入れてもらったことを確認してから帰り際に渡しましょう。最初に渡そうとすると品物で解決しようとしていると受け取られる可能性があるので注意しましょう。
6. 渡す時にへりくだりすぎない
「つまらないものですが」という言葉は手土産を渡す際の常套句として昔は言われていましたが、現在では好まれません。
「お口に合えば嬉しいです」「皆さんで召し上がってください」といった言葉で、あまり謙遜しすぎない言葉とともに渡すのがよいでしょう。
7. 相手が受け取らないことも想定しておく
謝罪で訪問した場合にお詫びを受け入れてもらえなかったり、先方の事情により季節の挨拶を辞退されたりすることもあります。
そのような場合は無理に渡そうとせず、持ち帰ることも想定しておきましょう。相手に負担をかけさせないことが大事です。
菓子折りは紙袋のまま渡していい?場所は玄関先?
訪問時に応接間などに通された場合は紙袋から出して菓子折りを渡すのがマナーです。
しかし、相手に時間がなく玄関先での応対になったり、互いの外出先で渡すことになったりする場合は、紙袋のまま菓子折りを渡しても問題ありません。
ただ、「紙袋のまま失礼します」「このままで失礼いたします」といった言葉を添えましょう。渡す際に片方の手を紙袋の下側に添えるとより丁寧な印象になります。
菓子折りの選び方
菓子折りは贈る相手に合わせて選ぶ基準を変えましょう。
友人など親しい間柄
友人などの個人へ贈る場合は相手の好みで選ぶのがよいでしょう。SNSで話題になっているお菓子や、見た目の可愛さなどで選んでも喜ばれます。
仕事の取引先
取引先などの会社相手に贈る場合は個包装になっていて配りやすいお菓子が好まれます。クッキーやフィナンシェ、せんべいなどの焼き菓子は好みが分かれづらく、日持ちするのでおすすめです。
謝罪・お詫びの相手
謝罪やお詫びなどで持参する場合、高級感のある有名店の定番のお菓子が無難です。シンプルな羊羹やせんべいなどは包装が派手過ぎず、落ち着いた印象でおすすめです。日持ちしやすく相手に負担をかけにくいところもポイントです。
菓子折りにのしは付ける?名前は?
お祝い事や挨拶、お礼のときは、のし(熨斗)をつけると丁寧な印象になります。
以下が主な表書きの例です。
表書き |
御挨拶 |
御中元、御歳暮、御年賀 |
御礼 |
御祝 |
心ばかり |
使用ケース |
新任の挨拶の時など |
季節の挨拶 |
お世話になったお礼、退職時の挨拶でも可 |
お祝いの内容を明確にしたいときは「御昇進御祝」なども可 |
少し謙遜した表現として多様なシーンで使用可 |
名前は入れても入れなくても構いませんが、入れるとややかしこまった感じになりますので相手へ与えたい印象によって使い分けましょう。
なお、謝罪の品物に関してはのしはつけません。
菓子折りを渡すときの挨拶や言葉
菓子折りを渡すときの挨拶や言葉をシーン別にご紹介します。こちらを参考に、あなたらしい言葉に落とし込んで活用してください。
お礼の場合
しっかりと感謝の言葉を述べながら、なぜそのお菓子を選んだのかの理由まで語れるとより好印象です。
「先日は大変お世話になりました。こちらは地元で人気の和菓子です。お口に合うかわかりませんが、どうぞお受け取りください」
「いつもご助力いただきありがとうございます。こちらご家族皆さんで召し上がってください」
謝罪の場合
謝罪の場合は誠意をもって謝罪やお詫びをした上で、相手が受け入れてくれたことを確認したあと、帰り際に渡します。謝罪の言葉は済ませているので、さっとスマートに渡しましょう。
「今後ともどうぞよろしくお願いします。こちらよろしかったらお納めください」
「本日はお時間を作っていただきありがとうございました。差し支えなければ…」
お詫びの品物は最後の一手です。
「そこまでしなくてもいいのに」
「わざわざ悪いね」
そんな言葉まで相手から引き出せれば理想です。
退職の場合
全体で挨拶を済ませた後、個別にデスクをまわるか、人が集まる休憩室などに菓子折りを置いていくことになるでしょう。基本的に就業中であるため、簡潔に済ませるほうがスマートです。
「たくさん気にかけていただきありがとうございました。これからもお元気で活躍なさってください。」
不在の場合はメッセージカードなどを活用してもよいでしょう。
「いつもサポートや励ましの言葉をかけていただいたおかげで、大変なときでも仕事を頑張ることができました。ありがとうございました。これからも健康に気を付けて元気に過ごしてください。」
お礼や挨拶のときとは異なり、品物に関しては触れなくてもよいでしょう。
菓子折りで相手と良好な関係を
菓子折りは相手との関係を良くするきっかけを作ってくれます。
こちらで紹介した内容を参考にマナーをしっかりおさえて、菓子折りを日常やビジネスで上手に活用しましょう。